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ジェンダー炎上CM(女性)

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ジェンダー炎上とは

CMやコンテンツの中で描かれた女性像・男性像がインターネットなどで拡散することで、不特定多数の視聴者、読者の目に触れ、強く批判され、企業や団体のブランドイメージが傷つくこと。(治部 2018 p.3)

瀬地山角『ジェンダー論でジャンボ宝くじを当てる方法』
(東大TV 1時間22分 2018)

<女性を応援したつもりなのに、「性役割」
の固定化・強化と受け取られ炎上>

味の素『日本のお母さん』篇(2012)

夕食にも父親は不在。家事育児は母親のものという性別役割の固定という批判が殺到した。
「40年もたって、「私作る人、僕食べる人」が再現されるとは思いませんでした。この本の出発点でもあります」(瀬地山 p.259)

ハウス食品『シャンメン』(1975)

「私はそのとき小学校6年生。母親からどうして問題になるかわかるかと聞かれて、「料理をするのは女性と決めつけてるから」と答えたのを鮮明に覚えています」(瀬地山 p.21)

<成功例>サンヨー食品『サッポロ一番
鍋スープ&〆ラーメンセット編』(2015-)

「パパ天才」
「パパ天才とおだてて、次もやってもらおうと思っている妻も実は感謝なんてまったくしておらず、時給の高いバイトをあっせんしてやったと恩を売ったつもりでいる」(瀬地山 p.74)

サイボウズ ワークスタイルムービー第一弾
『大丈夫』(2014)

感動したという声が大多数だったが、一方で「ますます、子どもを産みたくない」「夫は何してんの?」という意見もあった。(瀬地山 p.258)

花王『ウルトラアタックNeo 広がっています』
(2014)

「洗濯はママがするもの」という印象が強調され、「もやもやする」といった声が。(瀬地山 p.257)

NTTドコモ『あの子と別れてなんて言ってない
じゃん。』(2015 動画なしリンク
(J-CASTニュースより))

男性が心変わりした女性が着ているのは、メッセージアプリ「LINE」を思わせる緑色のカーディガン。自虐的な内容に注目が集まったが、ほどなくして非公開となった。(瀬地山 p.256)

実のところ、幼い子供を育て
ている女性はたいていヘトヘトです
。早朝から夜遅くまで家事に育児に
、さらに仕事にと一日中働きづめ。
自分の髪の毛はパサパサ、爪はネイ
ルケアどころかささくれも放置、外
出着にも子供の食べかすがついてい
る状態です。職場では子供の病気の
ために早退や急な欠勤を繰り返し、
上司や同僚にペコペコ頭を下げ続け
、休日に子連れで街に出ればベビー
カーがじゃまだと舌打ちされます。
結婚も出産もして恵まれているんだ
から贅沢いうな、という空気を読ん
で不平不満はいえません。職場で仕
事の成功ぶりをアピールしてくる同
僚男性に対しては、「家のことを妻
にやらせているからできるんでしょ
うが」と心のなかで悪態をつきます
。今日はどこのスーパーで野菜の特
売日だったかを思い出しながら急い
で子供を迎えに行く途中、お洒落な
店のテラス席で女子会をするアラサ
ーの女性たちが視界に入ります。手
入れされた髪に、洗練されたファッ
ションを身に纏う彼女たちのキラキ
ラ感。産後太りのどっしりとした腹
回りをすっきり見せることが服選び
のポイントになってしまった我が身
と比べて、焦りと嫉妬の感情が沸き
上がります。子供を乗せた自転車を
全速力でこぎ汗だくで帰宅した後は
、「お腹すいたー」「こぼしたー」
「うんち拭いてー」「ゲーしたー」
と次々突き付けられる子供の要求に
休む間もなく対応。疲れ切った心身
が叫び声をあげます。「全然勝った
気がしないんですけど!」
藤田結子
『ワンオペ育児』(2017)p.4-5

ユニ・チャーム『ムーニー はじめて
子育てするママへ贈る歌。』(2017)

SNSでは「ワンオペ育児を美化しないで」との批判が上がったが、一方で「過去の自分を見ているようで涙が出てきた」という声もあった。(瀬地山 p.251)

女性向けの商品を扱う会社が作ったCMが頻繁にネットで炎上したことがあった。それらに共通している問題は、「女らしさ」をあおっている根っこの部分。(中略)女らしくワンオペ育児に奮闘しろ、そこに生きがいを感じろ。一見するとどれもよくできたキャッチーなCMだ。しかし制作者が無意識に抱いている「女らしさ」の定義が、透けて見える。(山内 p.23)

P&G『パンパース MOM'S 1ST BIRTHDAY
ママも1歳、おめでとう。』(2014)

炎上どころか「感動した」「泣いた」と好意的に受け止められる。(瀬地山 p.42)
「赤ちゃんの1歳。それはママの1歳でもある。」感涙、感動、なんてすてきなCMと大いに話題になったわけだが、赤ちゃんの1歳、それはパパとママの1歳ではないのかと、画面を見ながら暗澹たる気持ちになった。ママだけが親として育ってしまうのかと思うと、納得がいかない。(佐光 p.127)

ユニバーサルホーム『ちょっと待ってね』篇
(2018)

「ちょっと待ってって言わなくなったね」
 私がこのCM動画を知ったのは、Facebookで知り合いの男性が怒っているのを見たためです。彼は家事も育児も当たり前のようにやっているため「父親は何もしなくて当然」という描写に腹を立てたのでした。
 企業広報や官公庁でジェンダーの研修をする際、このCMを見せると、共通の反応があります。参加者の性別を問わず多くの人がクスクス笑うのです。
 見終わった後、感想を聞くと「こんな風に何もしないのはおかしいです」とか「自分がこの父親みたいに何もしなかったら、妻に怒られます」といった反応が返ってきます。こうした反応は、自身が結婚しているかどうか、子どもがいるかどうかは関係ないようです。「男性も家にいる時は家事や育児をするものだ」という意識を多くの人が持つようになっている、ということでしょう。(治部 2020 p.84-5)

美術館連絡協議会、読売新聞オンライン
『美術館女子』(2020)

「女性はアートに関心がない」という決めつけが見えてしまったために炎上した。(治部 2020 p.82)

テレビ朝日 報道ステーションPR動画(2021)

<女性向けファッションや化粧品のCMで炎上>

味の素AGF『ブレンディ 挽きたてカフェオレ
旅立ち篇』(2014)

「気持ちが悪い」「これが冗談で、日本社会のパロディだとしても、風刺効きすぎで見ていてつらい」という意見があった。「濃い牛乳を出し続けるんだよ」というセリフが、性差別を助長するつくりになっているという指摘があった。一方で、「アドフェスト2015」フィルム部門で「ゴールド」を受賞。
「これはおもしろいCMで私は評価します」(瀬地山 p.258)

ルミネ『働く女性たちを応援するスペシャル
ムービー』(2015)[2]

「需要が違うんだから」「もう、ルミネで買い物をしない」という声も上がるほどの大炎上。3日で動画は削除。予定されていた続編も公開されなかった。
「訴求層を分断してしまったために炎上してしまった。髪を巻く女性と巻かない女性。需要に応え、職場の華になりたいと思う女性とそうではない女性」(瀬地山 p.115)

西武・そごう『わたしは、私。』(2019)

「暴力的だ」「パイを投げる側に問題がある」「個人の問題に集約させるのか」「不快」「意味が分からない」というのが批判意見の一方、「パイを投げつけられても、立ち向かう姿に元気が出た」と肯定意見も多く、賛否両論となった。
「個人的にはよくぞ、しっかりいってくれたと思いますし、好感を覚えます」(瀬地山 p.246,106)

資生堂『インテグレート Unhappy
Birthday』(2016)

「カワイイという武器はもはやこの手には、ない」「女性の価値は若さだけなのか?」という批判が殺到。「それが顔に出ているうちは、プロじゃない」「女性はどんなに疲れていてもキレイであらねばならないの?」と否定的な意見があがった。
「訴求層を分断してしまったために炎上してしまった。25歳を過ぎて、カワイイを維持したいと思うのか、思わないのか。忙しかろうと、外見をきちんとすることを最優先するのか、仕事に注力するのか」(瀬地山 p.115)
女性向けの商品を扱う会社が作ったCMが頻繁にネットで炎上したことがあった。それらに共通している問題は、「女らしさ」をあおっている根っこの部分。女らしい服を着ろ、女らしく25歳になったら「もう若くはない」と思え、(中略)一見するとどれもよくできたキャッチーなCMだ。しかし制作者が無意識に抱いている「女らしさ」の定義が、透けて見える。(山内 p.23)

女性向けファッションの大手としてルミネの失敗に学んだのが西武・そごうのネットCMとなり、資生堂インテグレートに対応するのがPOLAとなります。ルミネに西武・そごう、資生堂のインテグレートにPOLAを対比させると、前者に比べ後者のメッセージは、シリアスな笑顔の少ないもの。自社の製品は前景化されず、働く女性の直面する差別を描き、それに立ち向かおうとする力強い情報発信です。ルミネにあった「巻いただけですって〜。やっぱかわいいなぁ。あの子」などという男性からの目線はなく、インテグレートのように25歳で「かわいくない」というのではなく、30代の働き方に目がいっています。
瀬地山角『炎上CMでよみとくジェンダー論』(2020)p.105

(カンヌ国際広告祭 2部門において金賞
をダブル受賞)

資生堂『High School Girl?メーク女子高生
のヒミツ』(2015)(メイキング映像)[解説]

「化粧品のCMでいうと、インテグレートが炎上し、対抗としてPOLAのメッセージが打ち出されるわけですが、『女子高生のヒミツ』はそうした対立を飛び越えた地平にあるのです。
 もちろん、男性への化粧の広がりや、トランスジェンダーの人たちへの訴求も意識したCMなのかもしれません。しかしどう考えてもそれは商品の購買層という意味でははるかに小さく、それが訴求層の中心ではないはずです」(瀬地山 p.106-7)

キリンビバレッジ『午後ティー女子』(2018)

「バカにしている」「顧客を悪く描いて楽しいのか」と批判が噴出した。企業側は謝罪ツイートを出し、当該ツイートを削除した。(瀬地山 p.246)

小学館 雑誌『Domani』駅中広告(2019)

「古い!!」「女性を分断するだけ」と、炎上した。(瀬地山 p.246)

ロフト『Valentine's Day2019』(2019)

「女性は陰湿って言いたいのか」「意図が分からない」といった声が続出。企業側は「配慮を欠いた事を反省し、当該ビジュアルの掲出を停止いたします」と公式ツイッターで報告したが、「ユーモアも通じないのか」との意見もあった。(瀬地山 p.245)

銀座いせよし『宣伝ポスター』(2019)

「着物は男に媚びるために着るのではない」と着物愛好家も不快感を表明。その他、様々な立場の人を侮辱していると問題視された。(瀬地山 p.244)

トヨタ自動車『ツイッターキャンペーン』(2019)

「やっぱり」「やっぱりって何?」「苦手選択肢が2つ? バカにしている」という批判の声が殺到。企業側は謝罪し、当該ツイートを削除した。(瀬地山 p.244)
ただし、トヨタには女性を差別しようという意図はありませんでした。実は、このtweetに先立ち、トヨタ自動車が行った試乗会で、運転に苦手意識を持つ女性が多い事実を把握していたそうです。それをもとにSNSを使って調査やマーケティングを行おうとしたら、批判を集めてしまったのです。(治部 2020 p.73)

<炎上せず修正されたCM>

味の素『Cook Do 回鍋肉』(2018)

このCM、よく観ると少し不自然な部分がある。
 長男役の竹内が回鍋肉を作り大皿に盛る。弟役の子どもたちが食べようとする。竹内が<待て待て、いただきますしてからっ!>と嗜める。子どもたちが<いただきま〜す!>と言う。
 このあいだの映像が微妙に会話の流れに合っていないのだ。それもそのはずで、じつはこのCMは放送直後に視聴者から物言いがついて修正したものだからだ。
 当初のストーリーは、竹内が<いただきますは?>と嗜めるも、子供たちが<省略〜!>と言って回鍋肉を食べ始めるというものだった。ため息をつき呆れ顔をする竹内が映るワンシーンはその時の名残だ。(池本 p.48)

修正されたCM(公式)

川村元気×ティファニー×ゼクシィ『ティファニ
ー ショートフィルム第三弾』(2019 6:37)

<地方公共団体のPR動画>

東京都『結婚に向けた機運を醸成するため
の動画』(2018)

この動画に描かれている若者たちは、東京都、あるいは小池知事の心の中で勝手に想像した、自分に都合のいい若者でしかない。(池本 p.35)

広島県『みんなでおせっかい『こいのわ』
プロジェクト』(2017)

少しでも結婚を考える若者たちにとって、乗るべきメリットが提供されている。ここでは県と県民が対等関係にある。(池本 p.35)

東京都『TOKYO GOOD MUSEUM』(2016)

東京と他県の境に白い壁がそそり立ち、その中で東京人のマナーが日本の範を示すかのごとく美術作品のように展示される。(池本 p.63)

香川県『うどん県にようこそ』(2011)

広島県『おしい! 広島県』(2012)

大阪府『Osaka Bob』(2015)

世界は東京を普遍だとも特別だとも思っていない。そんな自意識から無縁の地方都市では香川の<うどん県>、広島の<おしい! 広島県>などの成功事例が数多く生まれ、SNSでは今日も大阪の<Osaka Bob>がその魅力を世界に発信し続けている。(池本 p.63)

ヴィクトリアズ・シークレットの広告
キャンペーン(反発を招く前 2014)

ヴィクトリアズ・シークレットの広告
キャンペーンは反発を招いた(2014)

ヴィクトリアズ・シークレットの広告
キャンペーン(修正後 2014)

<環境セクハラ型の広告>

<ブラックユーモアが炎上>

エーザイ『チョコラBB』(1991)[変更後]

「世の中、バカが多くて疲れません?」

日清食品『カップヌードル OBAKA's大学に
春が来た!篇』(2016)

「二兎を追うものは一兎も得ず」
「これ実体験だよね」
「才能はシェアする時代へ」
「そうだその調子」
視聴者から「不倫や虚偽を擁護するのか」という意見が寄せられ、CMを放映中止とした。(市川 p.68)

※このページは、治部れんげ『炎上しない企業情報発信』(2018)、市川孝一『社会問題化した広告表現 -炎上CMから見えてくるもの』(2018 PDF)、
治部れんげ「ジェンダー炎上する広告やCM」(林香里ほか『足をどかしてくれませんか。』(2019)所収)、
瀬地山角『炎上CMでよみとくジェンダー論』(2020)、佐光紀子『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』(2017)、
山内マリコ『あたしたちよくやってる』(2019)、池本孝慈『超広告批評』(2019)、治部れんげ『「男女格差後進国」の衝撃』(2020)、
瀬地山角研究室(CM集)を参考にしました。
「」(治部、瀬地山、佐光、山内、池本 p.)と記載されている部分は、それぞれ、治部れんげさん、瀬地山角さん、佐光紀子さん、山内マリコさん、池本孝慈さんの個人的見解です。
p.は著書のページ数から引用したものです。

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