なかなか好感CM(90’s)
あなたは日本の1990年代のCMを見たこ
とがありますか。当時のCMは現在よりも性別
役割分業の傾向が強い表現がたくさんありま
した。このページは、当時「コマーシャルの
中の男女役割を問い直す会」によって指摘さ
れてきたうちの「なかなか好感CM」という
カテゴリーのCMを集めました。あなたは性別
役割分業の視点からみて、どの表現がそろそ
ろやめてほしいのか分かりますか。続きをよ
むを押すと当時の会報に記載された視聴者の
意見が見られます。
王子製紙『ネピア ドレミ』(1990)
(同シリーズに、渡辺さんが赤ちゃんと遊び
ながら、おしめを頰に押し当てるものがある)
おむつを手に持っているところが新鮮。おしめを変えるところまで連想させる。
日立製作所『これっきり静御前』(1990)
安田生命(1990)
野球のアンパイア(=主審)として働く女性の姿、大男の監督を相手に自分の審判を主張する彼女の姿。男性社会の野球界という中で、男達と互角にわたり合い、自分の選んだ仕事に対して、生き生きとしている。(る No.6 p.3)
タイガー魔法瓶『じゅうじゅう』(1990)
家族全員が楽しそうに後片付けしている。特に、父親が洗いものをしているところがいい。
ニッカ『オールモルト』(1990)
「女房酔わせてどうするつもり」やった! このCMを見て、やっと日本の夫婦もお母ちゃんとお父ちゃんでなく、ちゃんと女と男するようになった、と日本社会の成熟を祝う気分になった。「亭主元気で留守がいい」なんて情けない夫婦だ。釣った魚にエサはやらない、夫婦で女と男するなんて嫌なこったなんて言っているから、密かに箸でパンツをつままれて洗われたり、ぬれ落ち葉、ワシ男と馬鹿にされるのだ。最後に一瞬映る、尖った氷と注がれるボトルの口。こういう上品なエッチは良い。
雪印『スライスチーズ』(1990)
「れれれっ、おいしさ平等」従来パターンなら、「女の子はクマさん、男の子はスポーツカー」という定型的な描き方で終わっていた。それに対して、男の子に「僕もクマさん」、女の子に「私もスポーツカー」と言わせるこのCMには、そういった"女の子らしさ""男の子らしさ"という固定的な性役割はもうそろそろやめようよ、という視点がうかがえて秀逸である。
日本生命『ナイスデイ』(1990)
女性が活動的に動いている。「花の命はけっこう長い」という歌詞が良い。
日本生命『ナイスデイ』(1990)
女性の脱衣、入浴シーンはいらない。このCMを見た夫は「なーんだ、脱ぐところはやらないんだ。つまんないの」と言った。同じ感想を持った男性諸氏は一体どれだけいることか。
旭松食品『生みそずい』(1989)
ほほえましい。女の子でなく男の子が「帰ったら、生みそずいしたるわ」と言うとは、時代はたしかに変わった。何も男と女を入れ換えたからいいと言うのではない。こういうやさしさを描けるようになったのかと、感心するのだ。相手を気遣って、いたわる。そこに男女差があるはずない。男だから、女だからに縛られない、こんなCMがもっと増えてほしい。(No.6 p.6 真知)
永谷園『おとなのふりかけ』(1990)
日本の家族は母と子が密着していて、外国のように幼い頃から子どもを1人で寝かしたり、夫婦が2人だけの時間を楽しむということがない。このCMはそうではない家庭を描いていることと、加えて、夫が妻に「もう一杯どう」と聞いているところが、すごくいい。
大幸薬品『正露丸糖衣A』(1990)
「山下君」は多分OL。男女雇用機会均等法の下で、ひと昔前の男性社員の潜在意識を皮肉っている。
日立製作所『静御前 これっきりボタン』(1990)
洗濯機のCMに男性が出演することが珍しいので、いいと思う。
東芝『ひっぱれ〜』(1989)
子どもから老人まで様々な人が換気扇掃除(というほどではないが)にかかわる。(No.6 p.10 ふ・清)
ハナマルキ『あわせるのがみそ』(1990)
性別役割をまるまる肯定し、なおかつ母親の料理の手抜きを皮肉るという意味合いが強くなる。このCMは短いバージョンであり、長いバージョンでは「おいしいお味噌汁を作るには、だしをとるのが秘訣です、と父が申しております」と続き、画面にはエプロン姿で味噌汁を作っている男性が映し出されるというものである。長いバージョンがなかなか好感CMである。
カネボウ(現クラシエ)『葛根湯』(1990)
妻は画面に映らないが、風邪で寝ている妻に向かって話しかける、という状況。風邪薬のCMとしては、従来見られなかった斬新な発想。妻に対する夫のいたわりが素直に伝わる。
ゴルフ5(1993)
普通のサラリーマンの夫と妻の様子を逆転させている。(No.9 p.18 千)
味の素『ニューマリーナソフト』(1990)
家事としての買い物という視点は、はっきりとは打ち出されていないが、たとえ単身者であっても、買い物かごを腕に通した片岡鶴太郎さんの買い物姿はなかなか板についている。
リプトン『リプトン紅茶』(1991)
男性が女性に紅茶を入れるのと、景色のよいテラスで流れる曲も耳ざわりがいいし、おしゃれっぽい。
P&G『モノゲンユニ』(1990)
(このCMの前のバージョンでは「簡単なので、
あなたにも」というナレーションが入る)
「簡単なので、あなたにも」というのは、ちょっと引っかかるが、男の人が自分で洗うところがいい。全体のシチュエーションには引っかかりがあるが、男の人も嫌がっていないみたいだし、ライオンのアクロンとは大違いと思って見るので好きです。
日立製作所『インバーターオーブンレンジ』
(1990)
これまでの役割を入れ替えているところが、オヤッと思わせる。エプロン姿の父と、ゴルフ好きという設定の母、勉強をする娘。従来とは逆の設定がさりげなく描けていていい。(No.7 p.6)
雪印『スライスチーズ』(1990)
姉妹編、兄弟編をそれぞれ別に見ると、何ていうことはないのだが、セットで見ると、前作の「れれれっ、おいしさ平等」編に引き続き、制作者の、男女を全く対等に描くという意図が、明確に浮かび上がってくる。
樋屋奇應丸(1990)
二人で起きているんだ、すごーい。大抵寝たふりしたりして、どちらか一人が起きるってことが多いのに。
永谷園『あさげ』(1991)
温かい味噌汁=女の手作りのイメージを打破。(No.8 p.8 尚)
ネッスル『ネスカフェ エクセラ』(1991)
外国人カップルという点は減点材料だが、さりげなく男がコーヒーを持ってくるところが好感。シリーズを通して、対等なカップルの心地良い雰囲気が伝わってくる。(No.7 p.9 清)
マツダ『オートザム レビュー』(1990)
運転席は男、助手席は女という伝統を破ったCM。ずっと小泉さんを起用しており、その成り行き上こうなったとはいえ、見ていて気持ちがいい。
麒麟麦酒『ドラフト』(1990)
ビール、酒とくれば、飲むシーンは男、と相場が決まっていたが、「ウン?」、と思わず画面を見つめてしまった。女性だってスポーツの後はビールがおいしいという当たり前の感じが、意外と新鮮。小突かれるシーンはよくない。
ライオン『アクロン』(1990)
台所用洗剤、洗濯用洗剤のCMに起用されるのは、女性ばかりであるなかで、男性(夫)が、いかにも常日頃からしていますという感じで、さりげなく、手慣れたふうに洗濯しているのがよい。
小松製作所『アバンセ』(1990)[2]
このCMは、雇用機会均等法以降の画期的なCMである。これまでクレーン車と女性といえば、女性がクレーン車の横に立ってにっこり笑うようなものが多かった。しかしここでは、作業服にヘルメットをかぶり、一日の労働を終え、満足そうな表情で楽しそうに夕焼け色の中を歩いている。一瞬だが、クレーン車を運転している女性の姿も映る。[2]風が吹いてお尻が丸見えになるCMで、とても残念。
ライオン『Hiトップ』(1990)
(同シリーズに二階のベランダで洗濯物を干して
いるカップルのうち男性の方が「早速使って
まーす」というものがある)
男性はたった1人しか映し出されないが、さりげなく描かれて、わざとらしさがないところがいい。このCMは残念なことに、なぜか男性の姿が消えて、女性ばかりに逆戻りしている。
ロッテ『雪見だいふく』(1990)
女性の探検家という感じでいいと思う。
大塚製薬『ファイブミニ ファイバードリンク』(1990)
日本のCMではじめて女性の「社長」(山田邦子)を登場させたファイブミニのCMは、多少ギャグ的なニュアンスが感じられなくもないが、社会性を盛り込んでおり、同じ話題性でも、視点、発想において大きな違いを見せている。(No.6 p.33 清)
花王『タッチ』(1991)
花王『かんたんマイペット』(1994)
掃除は女の仕事という感じがなく、男女が協力して、楽しく家事をしているところがいい。
ハウス食品『咖喱工房』(1993)
ようやく父が家事参加したことを評価。母もカレーを食べられて良かった、良かった。(圭 No.9 p.4)
富士フイルム『フジカラー 写ルンです』(1992)
こんなお父さんっていいなあ。子どもに弁当を渡そうと必死にバスを追いかけ、たとえ高所恐怖症であっても、必死で吊り橋を渡ろうとする。全然格好つけていないし、子どものために一生懸命になっているところが、とても素敵だと思う。
ハウス食品『ハウス カレー』(1993)
休みの日はカレーをつくって家族に食べさせるのがお父さんの楽しみ-そういう趣味はいいなと思う。(No.9 p.32 真理)
大幸薬品『正露丸糖衣A』(1992)[2]
このシリーズはうまいな、と思う。友人の一人は「お茶くみはセクシャルハラスメントだ」と言い切る。このCMは働く女の鬱憤を晴らす元気の出るCMなのである。しかし、こんなことで鬱憤を晴らすしかないなんて、情けないんだけれどね。
片山津温泉(1993)
温泉のCMでは今までになかったタイプのもの。若い女の裸を出さなくても、女優がにっこり微笑まなくても、宣伝になっているではないか。今後とも、この発想で頑張ってほしい。(No.9 p.34 真理)
P&G『ミューズ』(1992)
(同シリーズに男の子が「僕にも手伝わせて」と母親とサラダを作るものがある)
夫と妻が協力して料理を作っているところが、とてもよい。また、それを手伝うと言っているのが、息子であるのも、とてもよい。こういうパターンが当たり前になっていってほしい。
麒麟麦酒『ラガー ビール』(1992)[2]
早くて、短いショットの切り替わりがめまぐるしくて、ストーリーがつかみにくいが、夢を追う若い二人の姿がいい。酒(ビール)を飲む若い女性の姿が自然。若い女が、飾り物でなく、人間として存在している。
積水ハウス『セントレージMR』(1993)
「夫婦で築いた名作です
(It's a masterpiece created by a couple)」
森永乳業『ミルクココア』(1992)
家族が楽しそう。特に、父が喜んで引き受けるところがよい。
日本たばこ産業『キャスター べヴェル
メンソール』(1992)
タバコのCM自体は不要と思うが、女性の登場が少ないのは不満だった。海外で働く非白人の女性ジャーナリストというところがいい。
※このページは『コマーシャルの中の男女役割を問い直す会 会報(WANミニコミ図書館 https://wan.or.jp/dwan/dantai/detail/60)
1,2,3,4,5,6,7,8,9号』(1985-95 PDF)を参考にしました。
なお、企業名からは株式会社を略し、当時の商号を記載し、商号の変更については(現~~)という形で記載しました。
()内のCMの放映年については1年ほど前後することがあります。