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『パリピ経済』

原田曜平著(2016)です。

本書は、パリピという若者たちについて論じています。パリピの存在は非常に重要です。なぜなら、流行が上手くいくか、失敗するかは、アーリーアダプターである彼ら、パリピにかかっているからです。その時に、一気に流れに乗れるかが決まります。

 ハロウィンを流行らせたのは誰か? その黒幕は、「パリピ」と呼ばれる若者たちです。彼らが若者の間でトレンドセッター(流行の仕掛け人)になっているのです。
 パリピとはパーティーピープル(party people)の略。パーティーピープル→パーリーピーポー→パリピ。その名の通り、パーティーやクラブイベントに代表されるような、賑やかでキラキラした集まりに参加して大騒ぎするのが大好きな若者たちのことを指します。
 パリピは都内の大学生や若手社会人を中心とした、高校生から20代後半くらいまでの若者たちで構成されています。彼らは新しいこと、面白そうなこと、派手なことに対する感度が非常に高く、友人が非常に多いのも特徴です。
 そして彼らが持つ最大の能力は、自分たちが飛びついた新しいモノやコトを、他の若者たちに拡散・伝播できる点にあります。トレンドという観点において、彼らは若者の間で大変強い影響力を持っているのです。
 逆に言えば、商品やサービスやイベントが「パリピ」の心に刺さりさえすれば、それらは速やかにその他の若者たちに伝わり(場合によっては他の年代に伝わることもあり)、大ヒットしていきます。
p.8-9

 ここで大事なのは、イノベーター(フィクサー)しか飛びつかなかったものは、普及しない場合もあるということです(そういうITガジェットや家電製品は、過去山のようにありました)。理由は、イノベーターが注目するのは商品の新しさそのものですが、アーリーアダプター(パリピ)が注目するのは、その商品が自分にどんな利益や幸福をもたらしてくれるかというシビアな費用対効果だからです。
 イノベーター理論では「普及率16%の論理」がよく合わせて語られます。これは、イノベーターとアーリーアダプターの合計、つまり全体の16%に普及したものは一気に普及していくというもの。この16%超えのことをマーケティング用語で「キャズムを超える」と言います。
 今、そのキャズム超えの鍵を握っているのが、アーリーアダプターたる「パリピ」です。彼らは、その商品やトレンドが、フィクサーの内部だけの話題で止まるのか、広く市場に受け入れられるのかを決定する「フィルター=ふるい」の役割を担っているのです。
p.72-3