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H君の思い出

H君は眼鏡をかけた、小柄でひょうきんな男友達でした。
僕たちは、いつも4,5人のグループで行動していましたが、H君はそのうちの1人でした。

中学3年生の頃、そのH君たちと中学校の食堂で話したことです。
食堂のメニューのラーメンかそばを食べながら、彼らとどうでもいい話題について話していた時に、
彼は深刻な顔をしながら「プレイステーションを父親に壊された」と僕たちに話しました。
親に隠れてプレイしていたら、バットで壊されたそうです。彼が、実際に現場を見たかどうかは知りませんが、僕には信じられませんでした。
それ以前には、親にプレイステーションを隠されたりしたそうですが、そんなこともその時知りました。

僕は自宅でNintendo64でゲームをしていましたが、プレイステーションは持っていませんでした。
でも、ゲーム機を壊される痛みは、彼と共感できました。
僕は、親からテレビゲームを禁止されることもありませんでした。
そして、そうして放っておいてくれて本当に嬉しかった。
今になって、そう思います。

僕たちは中高一貫校に通っていましたが、彼は高校に進学しませんでした。その後の彼の進路は知りません。
彼とは中学校を卒業してから会っていません。