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『学校珍百景』

この本の著者の塩崎義明氏は、市立小学校の教諭です。
以下の文章は小学校や小学生のものですが、
内容は中学生や高校生にも当てはまります。

子どもは「裏文化」で育つ

 さて、子どもたちは、学校のルールを守りながらも、その裏で教師批判・学校批判をしたり、やってはいけないことを見つからないようにやったりしています。実は、子どもたちにはそういった「裏文化」の中でこそ育つ、という面があるのです。
 子どもの「裏文化」はそもそも健全なものでした。教師の口癖を真似したり、「表」では笑ってはいけない教師の失敗を笑ったり、教師を愛すべき一人のおとなとして「裏文化」の中で前向きに受け入れていたわけです。そんな「表」と「裏」の境界を破ったのは学校であり教師です。あれもいけないこれもいけないと、子どもたちの成長の場である裏文化に介入して行きました。「道徳」の教科化などもそのうちの一つ。
 そして今、おとなたちによって破られた境界を超えて子どもたちからの「仕返し」が始まっています。裏文化を表に持ち込み、学校を教師を徹底的に批判し、壊し始めています。それに対しておとなは力でねじ伏せたり、優しさで包み込んでごまかそうとしたり、理解したふりをして上から説得しようとしたりしています。そうではなく、大切なのは、子どもたちの「裏文化」を保障し、励ましていくということではないでしょうか。
 本書では、教師の指導や学校文化を批判的に見ることで、実は子どもたちのこういった「裏文化」を肯定し、励ましている面があることについて述べておかねばなりません。それは、今日の超支配的な教育行政・学校体制、そして教師個々の支配的なスタンスによって介入され、ゆがめられてしまった、子どもたちの健全な「裏文化」への応援歌だと言えるのかもしれません。

1. 日直はいらない
2. 「朝の会・帰りの会」はいらない
3. 係はいらない
1. 仕事的な係 黒板・配り・電気・窓・専科・連絡・カーテン・配ぜん台・号令
2. 文化的な係 生き物・新聞・ミュージック・レク・お楽しみ・クイズ・お笑い

塩崎義明
学校珍百景』p.4-5,12,16,20