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フローと二面性

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同じころ、書店では『ジョイ・ラック・クラブ』『ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密』『キルトに綴る愛』といった本が売れていた。どれも力を合わせる女性たちを描いて一つの社会的モデルを提示した小説だ。集まって打ち明け話をする。人生経験を分かち合う。しかし、男同士が人生経験を共有する新しい社会的モデルを提示している小説は一つも見当たらなかった。 チャック・パラニューク『ファイト・クラブ』(1996)p.308-9
フロイトの用語で言うと、わ
たしたちはそれぞれ、暗い自己である
イド、すなわち超自我から支配権を奪
いとれる野獣を住まわせている。だか
ら、感じのいい親切な隣人が、運転中
にキレてセミトレーラーに車をぶつけ
たり、10代の若者が銃をつかんで友
だちを撃ったり、聖職者が少年をレイ
プしたり、といったことが起こる。ほ
かの点ではまともなこの人たちは、自
分のことならわかっていると思いこん
でいる。ところが、激情の真っただ中
にいると、なんらかの内なるスイッチ
がはいってすべてが一変する。バーク
レーでの実験は、だれもがジキルとハ
イドだというような、よくある話だけ
ではなく、もっと新しいことをあきら
かにした。わたしたちはみんな、いか
に「いい」人であろうと、情熱が自分
の行動におよぼす影響を甘く見ている
。わたしたちの実験の協力者は、すべ
てにおいて判断を誤った。もっとも聡
明で合理的な人でも、情熱のただ中で
は、自分が思っている自分とは完全に
すっぱりと切りはなされてしまうよう
だ。しかも、ただ自分について誤った
予想をするというだけでなく、その誤
りの程度が甚だしい。
ダン・アリエリー
『予想どおりに不合理』(2008)p.178-9
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