CMアラカルト(島森路子)
このページでは、日本経済新聞の1980
,90年代の金曜日の夕刊に掲載されていた
「CMアラカルト」というコラムに掲載された
文章と、当該CMを見ていきます。コラムの執
筆者は、島森路子さんという、女性の広告評
論家、エッセイスト、編集者の方です。当時
の女性の目から見て、日本のCMはどのように
見えていたのでしょうか。
サントリー『レッド』(1987)[15秒]
(承前)オッ
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
チョコチョイの、こ
ういう古い”つっぱり女"
が似合うことかと思うが、
今度の”よたつき足”は久
しぶりに秀逸だ。
かれこれ、七、八年にも
なろうか、レッドといえば
大原麗子、大原麗子といえ
ばレッド、というくらいに
二つはなじんで、テレビの
中で見慣れた風景となった
が、その
(承前)人気の秘密だろうか。
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
大体、男というものはい
つだって不実なもので、今
日も今日とて、心待ちにし
ていた旅行を電話一本でと
りやめ、代わりにゴルフの
用意をしろ、などと命令す
るものだから、さしもの待
つ女もむくれにむくれ、今
度のバッグけ飛ばしと相な
ったのである。
(承前)(島森 路子)
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
日本経済新聞 1987.10/2 夕刊8面 『CMアラカルト』
松下電器産業(現パナソニック)『オーブン
エレック』(1987)
マイホームママはしたたか?
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
PTA参観日。たくさん
のおかあさんたちの真ん中
で、ひときわ華やいだムー
ドの三田佳子サン。
おりしも、わが娘
の作文朗読のまっ最
中で、しかもテーマ
は「わが家」のこと
らしい。
「……うちのおか
あさんは料理がとっ
ても上手です」
思わずほおがゆる
んだ途 pic.twitter.com/pJIPN6A2tJ
(承前)やっぱりありきたりだか
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
ら、少々ズッコケたり、チ
ャッカリだったり、手抜き
だったり、ほどほどに欠点
(人間的ともいう)が見え
ることでむしろ魅力が増す
という、そういう現代の”期
待される”ママ像を、三田
サンが実に乗って演じてみ
せるのである。
マイホームママのイメー
ジも時代によ
(承前)の裏のした
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
たかさ)が、圧倒的にイキ
イキしているのだ。
結局、理想的マイホーム
ママイメージは十年一日変
わらないと見るべきか。そ
れとも、このかわいい女ぶ
り、ニッコリ笑って陰でフ
リンも、のしたたかさと見
るべきか。(島森 路子)
日本経済新聞 1987.10/9 夕刊8面 『CMアラカルト』
興和『キューピーコーワゴールド』(1987)
(承前)……」と
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
いう声を残して、早
々の出勤である。(Q
Pコーワゴールド)
そのウソのような
明るさ。さわやかな
笑顔。一瞬キツネにつまま
れたような気分になったの
は、たぶん私だけじゃない
だろう。
だって、夕べ、彼女はあ
んなに疲れていて、そりゃ
「外で食事」したかもしれ
ないが、
(承前)現代女
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
性像を地で行くようなタイ
プだから、男はむろんのこ
と、女だって、ひょっとし
たら「かくありたい」と心
の中で思っているかもしれ
なくて。けれどそれを、あ
んなふうに自信満々でやっ
てしまうところが、ちょっ
と困るというか、恥ずかし
いCMなのである。
心ある男性は、
(承前)(島森 路子)
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
日本経済新聞 1987.10/30 夕刊8面 『CMアラカルト』
ペプシコ『ペプシコーラ』(1987)
離日してもやっぱりマイケル
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
なにごとによらず、時の
勢いに乗るというのは、勝
利への大きなポイントだ
が、コマーシャルも例外で
はないようだ。
アメリカではいざ
しらず、少なくとも
日本では、実績にお
いてもイメージにお
いても、コカ・コー
ラに大きく水をあけ
られているペプシコ
ーラ pic.twitter.com/UnU076xN4Z
(承前)し
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
た便乗戦法が、いまだから
より効果的である。
少年が一人、迷路に迷い
込むように入り込んだとこ
ろが、マイケル・ジャクソ
ンの楽屋らしく、その衣装
を目にした少年の描く夢
が、ちょうどサーカスやデ
ィズニーランドの世界に遊
ぶ子供の夢のようにキラキ
ラとして、その世界全体が、
(承前)傾ける、
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
そういう独特の存在マイケ
ル・ジャクソンの、これは
コマーシャルであり、それ
を文字通り絵のように描い
てみせることで、これは(マ
イケルを”顔”にした)ペ
プシコーラのコマーシャル
になるのである。(島森 路子)
日本経済新聞 1987.11/6 夕刊10面 『CMアラカルト』
サントリー『リザーブ』(1987)
(承前)そこでつどっていた何
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
人もの男たちが迎え
て、その中央をまさにスタ
ーのごとく歩いてくる。
たどりつくのは、バーの
カウンター。旧知の間柄ら
しいバーテンと交わす挨拶
も堂に入っていて、それぞ
れに味のあるわき役、紫煙
の漂うような全体のムード
とともに、映画のワンシー
ンを見る
(承前)シュワルツェ
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
ネッガー、ショーン・コネリ
ー、ダイアン・レインと、
よく見ればアメリカの大物
スターの稼ぎどころは、そ
の多くがニッポンのCMに
出ているのだが、なぜか、
それだけのインパクトもな
ければ、存在感もうすい。
彼と彼の世界を”表現”
することを初めから放棄し
て、
あらか
(承前)(島森 路子)
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 29, 2020
日本経済新聞 1987.11/13 夕刊10面 『CMアラカルト』
サントリー『オールド・クラブハウス』
(1988)[2]
麒麟麦酒『生ビール ドライ』(1988)
サントリー『ドライ』(1988)
サントリー『リザーブ』(1988-90)
(承前)ビールの
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
CMが多かったり
するから、実に頻
繁にお目にかかる。
ミッキー・ローク(サン
トリー・リザーブ)の好評
が、このブームの導火線に
なっているような気もする
が、それにしても仕掛けも
工夫もほとんどない。タイ
ソンはグローブ片手に「ア
イ・ライク・サントリー」、
ハックマンは
(承前)原点帰り、ス
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
トレートな推奨こそがいま
は強い、という判断か。
けれどもそれが「ドライ
ドライ」や「アイ・ライク」
じゃ、ちょっとせっかくの
彼らがもったいない。
ミッキー・ローク(のC
M)には言葉はなかったが、
あるムード(世界)があっ
た。そのムードのリアリテ
ィーがサケのムード
(承前)(島森 路子)
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
日本経済新聞 1988.3/18 夕刊12面『CMアラカルト』
レナウン『通勤快足』(1988)
“窮地”救う? カメラワーク
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
無神経な人、というのは
どこの職場にもいるものだ
が、この場合は、その無神
経な人が、よりによって直
属の上司だったりす
るから始末に悪い。
こっそりつけとど
けたはずの「通勤快
足」(レナウンくつ
下)を、満場のオフ
ィスでこれみよがし
にバラしてしまうの
だ。 pic.twitter.com/35Y7QR2UCY
(承前)あくまで快活なのである。
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
商品を使った人が窮地に
立たされるというギャグ・
パターンは日本人のCMに
もたまにあって、そういえ
ば、ずいぶん昔のレナウン
くつ下のCMに、あまりの
はき心地よさに「ぬぎたく
ない!」とサウナの中にま
ではいて入り、周囲のヒン
シュクを買う、というのが
(承前)や
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
ってるんじゃないかと思わ
せなくもない、そこが二重
にブキミでもある。
が、同僚たちのオーバー
な視線を、オーバーに引い
てこれみよがしに印象づけ
るカメラワークが結果的に
浮かしていて、そこがちょ
っと救われるCMだ。(島森 路子)
日本経済新聞 1988.4/1 夕刊10面『CMアラカルト』
サッポロビール『缶生』(1988)
(承前)それでい
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
て、なんともいえな
い存在感がある。
天性のコケットリ
ー、と同時に、実に
矛盾するのだが、ベトつい
たこびをまったく感じさせ
ない(たくさんの日本のC
Mの女たちのように!)、ど
こか突き抜けた奔放さが彼
女にはあり、それが、この
コマーシャルを、ほかのタレ
ントCMと一味違う
(承前)とりわけあるイメージが定
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
着し、、それでいて神格化し
ている外国タレントを、日
常的なコマーシャルという
場で生かす、その術である。
マドンナもマイケル・ジ
ャクソンも、大きすぎるタ
レントはその大きさゆえに
既にあるイメージの部分を
かいつまんで見せることく
らいしか、
(承前)(島森 路子)
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
日本経済新聞 1988.4/15 夕刊10面『CMアラカルト』
ワコール『シェイプパンツ・春のアップル
ヒップ』(1982)
ワコール『ワコールブラ 何曜日?』(1988)[2]
思わせぶりに”ドキッ"
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
ワコールは、ときどきド
キッとさせる。
何年か前、女のお尻のア
ップが突如ズボンをおろ
し、次々とカラフルなシェ
イプパンツを見せた
ときもドキッとさせ
たが、いつだったか、
ブラジャーのフロン
トホックをはずし、
あわや、というとこ
ろでカットという、
きわどい pic.twitter.com/co93kauzMG
(承前)自
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
分の胸元をおさえる。
つまり、これ、彼女の単
なるカン違いなのだけれ
ど、「曜日」を言うことで、
自分の今日のブラジャーを
のぞかれるような、それが
上司の遠まわしの”エッチ”
であるような、そんなニュ
アンスを勝手に”自意識過
剰"して、思わず「課長…
!!」などとたしなめたりも
(承前)毎に女子社員
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
のその日のブラジャーを想
像して歩くほど、いまどき
の課長がヒマだとは思えな
いけれど、オジサン=エッ
チという図式に軽く乗っ
て、むしろ”エッチ”を歓
迎しているような若いOL
が、実に”いまどき”では
ないか。(島森 路子)
日本経済新聞 1988.4/22 夕刊10面『CMアラカルト』
(承前)関係定かならぬ
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
一組の男と女。ガラガラの
席をしりめに、ドアのわき
に立ち、ガムを小道具にい
ちゃついている。
ポイと、女の口にガムを
ほうりこむ男。これ、一見
サラリーマン風。「ウフン」
と受けた女も一見OL風で
はあるが、なんというか、
カジョーな媚態(びたい)
がフツーではなく、
(承前)もらい
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
たい、「バッカ」と言いた
いのはこちらである。が、
すっかりその気の二人には
公共の車内も既に一個のカ
プセルで、だからこそ、こ
のバッカバカしいほどのイ
チャイチャを、大の、それ
もどこにでもいそうな普通
の男と女が繰り広げられる
のである。
いや、聞くところによれ
ば、
(承前)(島森 路子)
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 21, 2020
日本経済新聞 1988.5/6 夕刊8面『CMアラカルト』
江崎グリコ『キスミント』(1988)[2]
(同シリーズの別のCM)
うつうつとした日常映す
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
この数カ月、エクソシス
トもびっくり、というよう
な異様な叫び声がブラウン
管に響き渡った。
「砂糖がないの、ミルクが
少ないの、私は喫茶
店じゃない!!」
「人が苦労して取っ
てきた仕事を自分の
手柄にしやがって。
このサギトリ課長!」
日ごろのうっ屈
を、オフィス pic.twitter.com/OlePCFg1ME
(承前)この
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
都会で、叫び声などはもっ
てのほか、ヘンな所で叫ん
だら、それ自体が犯罪扱い
されかねないご時世だ。
で、たまりにたまった出
口なしのイライラを、グリ
コキスミントガムは親切に
も、つかの間解放してくれ
たというわけだが、けれど
これ、どうも、見ているこ
ちらが、少しも
(承前)そういう
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
ものよ、OLなんてそうい
うものです、というアキラ
メといなおりが前提になっ
ているところが、なんとも
カナシイのである。
ま、とりあえずの気分転
換も、こういう時代、”生
活の知恵"ではあるんだけ
れど。(島森 路子)
日本経済新聞 1988.7/8 夕刊10面『CMアラカルト』
大塚製薬『ポカリスエット』(1988)
宇宙時代飲料にピッタリの速さ
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
青い地球にゆったりとカ
メラが寄っていく。と思っ
たら、それはすごい勢いで
一つの小島に向けて
急降下してゆき、そ
の先には白い砂浜に
真っ青な水着の美女
がポカリスエットを
持って寝そべってい
た。(大塚製薬)
と、まあ、言って
しまえば、それだけ
のこと pic.twitter.com/ieLgjpnXeW
(承前)まず、そのスピードにあっけ
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
にとられる。高所恐怖症の
人なら、思わず目をつぶっ
てしまいそうな落下速度
だ。
ちょうどビデオを早回し
したような、人工的なスピ
ード、このありうべからざ
る速さが、このCMに他と
は違うクセを与え、と同時
に、どうやって継ぎはぎし
ているその画像を、
(承前)ビルの高
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
さになり、飛行機の目にな
り、という映像は、これま
でも映画などで幾度か見か
けたけれど、これは、宇宙
人から見つめられた地球の
美女である。
そこのところが、この宇
宙時代風飲料に見合ってい
るのかもしれない。(島森 路子)
日本経済新聞 1988.8/5 夕刊8面『CMアラカルト』
(承前)家の中に倒れ込む。
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
はうように冷蔵庫
へ。で、例の「しば
づけ」をほおばり、
ようやくホッと一息。男も
たいへんだけど、女だって
キビシイのよ。キャリアウ
ーマン現実編の第二弾であ
る。(フジッコ)
第一弾ではそれほどでも
なかったこの構図が、第二
弾では極端に誇張されてい
る。
(承前)どこかで自分を浮かす。
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
いささかクサイ、そして
わかりよすぎるこのテーマ
と設定を二度も繰り返すた
めには、どうしてもそうい
う仕掛けが必要だったろう。
それにしても、いまはボ
ディコンとバイリンガルが
ナウいギャルの条件だそう
で、その点、しばづけギャ
ル山口美江はその典型。
(承前)(島森 路子)
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
日本経済新聞 1988.8/26 夕刊8面『CMアラカルト』
大洋漁業(現マルハ)『世話焼き パッ缶』
(1988)
(承前)わ
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
からない、そういう
ご亭主が、このニュ
ーファミリー時代に
いまだ多い、というよりむ
しろ”普通"というのが、わ
がニッポンの実情である。
で、今夜も夫はサケのつ
まみが欲しい、欲しいけれ
ど、どうしたらよいかわか
らない。そこで、奥サンが
いい気分で風呂に入ってい
るにも
(承前)あるでしょ!」
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
と叫ぶのだ。(世話焼パッ
カン)
ややあって、「ハイ」と
蚊のなくような夫の声。
これを見て、世の亭主族
は「おー、こわ」と身をす
くめ、せめてウチの奥サン
にだけはもっとやさしくし
てもらいたいと思い、良識
ある(?)妻は、女の風上
にもおけぬと思ったりもし
ているよう
(承前)(島森 路子)
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
日本経済新聞 1988.9/2 夕刊10面『CMアラカルト』
松下電器産業『マックロードCムービー』
(1988)
(承前)いまやなつ
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
かしい感じさえする
典型的酔っぱらいス
タイルである。
が、玄関にはだれも迎え
が出ない。そればかりか、
気配が妙にシーンとしてい
る。「おーい、ご主人様のお
帰りだぞー」と(たぶん)叫
ぼうとしてふと顔をあげる
と、そこにはカメラの目が。
なんと、妻と子が実にク
ールな
(承前)真
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
剣になっているのかもしれ
ないが、おそらくビデオを
撮る(レンズをのぞく)人間
の態度は、おのずとあんな
ふうにさめていて、その前
では、夫であろうと父親で
あろうと、他人のように眺
められてしまうのである。
これにはもう一編、夫婦
げんかが子供たちの撮るビ
デオの前でVサインに
(承前)(島森 路子)
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
日本経済新聞 1988.9/9 夕刊12面『CMアラカルト』
信託銀行『ビッグ』(1988)
(承前)てなぜか彼女は怒っ
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
ていて、突如バンと黒板を
たたき、声をあらげ、教壇
をまるでスパニッシュダン
サーのごとくはげしく踏み
ならし、かと思えば、「ホ
ラ、そこ!」と、生徒の顔
(カメラ)に向かって、コ
ップの水をまともにかけて
しまう。
が、それでも怒りが静ま
らないらしい彼女は、
(承前)実は、これ、怒りがはげし
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
い割には(はげしいからこ
そ?)あまり怖くない。浅
野先生が美しすぎるせいも
あるけれど、エバラやパッ
缶のようには怒りのほこ先
がリアルじゃないし、必然
性もないからだろう。
むしろこれは、ただアホ
みたいに笑っているより
は、たまには怒ったり泣い
たりして
(承前)ホント、
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
女はこわい。(島森 路子)
日本経済新聞 1988.12/9 夕刊10面『CMアラカルト』
ミズノランバード(1988)
(承前)なことをやって
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
しまった。ランバー
ドのCMである。
まず、カール・ルイスが
しゃべる。ソウルでは、結
果的に金メダルになったと
はいえ、あのベン・ジョン
ソンの前でいささか男を下
げた格好の彼は、この”し
ゃべり"もどことなくその
”若さ”が出てしまった感
じだが、さすが、と思わせ
た
(承前)ランバードは、いたずらに
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
細工しなかった分だけ(ス
トレートトークのみ)、彼女
らしさが自然に感じられる
作りになっている。
とはいうものの、私は、
二人のアップの横に出たコ
ピーで、アワワとつんのめ
ってしまった。「おそい狼
(おおかみ)は、群れてい
ろ」「ノロマな豹(ひょう)
は、
(承前)(島森 路子)
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
日本経済新聞 1989.2/3 夕刊8面『CMアラカルト』
ワコール『ヌーディ』(1989)
前に回って見てみたい
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
書類を小脇にかかえ、カ
ツカツとハイヒールの音を
響かせて、キャリアウーマ
ン風の美女が、オフィスの
廊下を歩いていく。スレ違
う数人の男性社員。
とまあ、これなら
よく見るCM的風景
だが、その”キャリ
アウーマン”がパン
ツ一枚となれば、こ
れは大分、ハナシが pic.twitter.com/sA9cy4UXDO
(承前)なんともふ
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
つうじゃないCMなのだ。
これを見ている私たち
は、その”ふつうでなさ”
に一瞬ギョッとし、けれど、
女の、ほとんどマネキンの
ような品のいいからだ、背
中から、それも肩から下し
か映さない演出、直射日光
が射しこんだような白く飛
んだ画面などによって、そ
の”ギョッ”が
(承前)ニクイC
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 22, 2020
Mである。
それにしても、前に回っ
て見てみたい、と思わせる
あたり、いつかの胸が見え
そうで見えない(見せない
?)フロントホックブラの
CM同様、ワコールは”見
せ方(じらし方)”のツボ
を心得ている。(島森 路子)
日本経済新聞 1989.6/9 夕刊12面『CMアラカルト』
(承前)つき出されるのだ。
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 16, 2020
いや、正確に言う
と、彼女はちゃんと水着
を着ているのだが、この水着
が超ハイレグ、結果的には
ほとんど丸だしで、そうい
うお尻についた砂を前かが
みの姿勢で払う女を、カメ
ラはなんと真うしろからア
ップでとらえるのである。
(承前)の女が映る(こちらは胸を
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 16, 2020
強調)、そして再び最初の黒
い水着の女が砂浜で寝転が
って、このすべてが30秒の
うち。このスピードが、お
尻から湿気や思惑をブルル
ント振り払ってしまう。
しかも、お尻の形が絵に
描いたようにきれいで、そ
の上ブロンズみたいにまっ
黒で、まるでよくできた置
(承前)
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 16, 2020
なお、7月7日付の本欄
で、ダニアースとしたのは
ダニキンチョールの誤りで
した。(島森 路子)
日本経済新聞 1989.7/21 夕刊12面『CMアラカルト』
資生堂『ヌーダ』(1989)
「このお尻にはたまげた」と書き出しながら、「お尻の形が絵に描いたようにきれいで」「ナマナマしさを感じさせない」。したがって、「彼女もこのCMも少しもいやらしさを感じさせない」と結局は肯定的に評価している。しかし、問題は「お尻の形がきれい」かどうかということなどではない。(中略)
「昔なら、客に尻を向けるなんて、してはいけないことの代名詞のようにいわれていたのに、いまや、尻を向けるとお客が喜ぶ時代になってしまったというのも面白い」と他人事のように書いているが、はて、これは面妖な! そもそもこういう「尻を向けるとお客が喜ぶ時代」を作り出したのはCMをはじめとする”男達のメディア"なのではないか? そして、これを喜んでいるのは実は一部の男達と一部の業界人だけなのではないか?(清 No.6 p.37-8)
ヤクルト『タフマン』(1989)
伊東四朗はヘンな人
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 16, 2020
伊東四朗という人は、ホ
ントにへんな人だ。どちら
かといえばこわもての、あ
の大真面目な顔で、大真面
目にヘンなことをしらじら
とやってしまう。
今日も今日とて、
会社の廊下での、突
然のヘッドロックで
ある。(写真)
「おはようござい
ます」の挨拶をする
か否かの pic.twitter.com/gKSXmLQSKG
(承前)かつてこの人
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 16, 2020
は、同じヤクルトタフマン
のCMで、会議中の中間管
理者に「部下に嫌われて会
社をやめた人○%」といっ
たデータを見せてオドカし
たり、白子のりを食べてい
ない部下をキョーフにおと
しいれたり、なにかと会社
(サラリーマン)を揺さぶ
ってきたが、今度のタフマ
ンのヘッドロック
(承前)テレもせず、大真面
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 16, 2020
目にやれる”大のおとな”
は、やっぱりそうはいない
だろう。ホント、伊東四朗
はヘンな人だ。
このCM以来、出社した
途端、ヘッドロックしたが
るスタッフが急増して困っ
ているのは私だけだろう
か。(島森 路子)
日本経済新聞 1989.9/29 夕刊14面『CMアラカルト』
(承前)「女性解放」を声高に叫ばずとも、パルコはその表現の強さとなによりも姿のよさとによって、独り立ちする女の誕生に、そのムード作りに拍車をかけたのだ。
— 女装部womanistan(ワンピ寸志) (@womanistan1) November 16, 2020
タカラブネ『パフリーム』(1980)
ナイガイ『モンタント』(1983)
資生堂『フェアネス ニュアンス』(1984)
旭松食品『生みそずい』(1986)
「だったらマリちゃん家の子になりなさい」「なる」皮肉っぽくておもしろい。(S(女性) No.4 p.41)
銀座ジュエリーマキ(1986)
「30歳は、女の夏です。」
大正製薬『蚊取りマット』(1987)
「部長、コマーシャルで大正蚊取りマットは、蚊がよく落ちると言っていますが、本当でしょうか」「今夜、一緒に確かめてみようか」
大日本除虫菊『キンチョー おふろどんと』
(1988)
「係長、女子社員が入っとらんじゃないか!」
藤沢薬品工業『新ピロエース』(198?)
しんしん『北野印度福神漬』(1988)
山之内製薬『ギネスゴールド』(1990)
学研『マイコーチ』(1990)
味覚糖『ピピンC』(1996)
コカ・コーラ『ファンタ』(2005)
白元『アイスノン ひえたろう』(1997)
東京海上日動火災保険『海外旅行傷害保険』
(1989)
モール・ザ・バーゲン(199?)
ファイザー製薬『バイシン』(199?)
※このページは、天野祐吉『私のCMウォッチング』(1986)、天野祐吉『私のCMウォッチング '86~'88』(1988)、
天野祐吉『私のCMウォッチング '88~'90』(1990)を参考にしました。