ホーム  > エンパワーメント(呪い)

エンパワーメント(呪い)

『逃げるは恥だが役に立つ』(2016 最終話)

私はこのシーンを見たときに、これまでの人生の中で直面してきた、数々の「呪い」を思い出しました。
「子どもができたら、母親はすべてを投げ打って、育児に専念すべき」(大学院入学直前に妊娠がわかったとき)
「キャリアアップとは、組織で働き続け、確実に昇進していくこと」(小さな子どもを2人育てながら、髪の毛を振り乱して国連で働いていたとき)
「シングルマザーは社会的信用度の高い組織で働かないと親子で差別される」(日本に帰国し、離婚してひとりで子どもを育てることになったとき)
 今、私がこれらの不安や心配が「呪い」だったと振り返ることができるのは、そうした固定観念を乗り越えて、自分で「決断」したおかげで、今の自分があると思えるからです。(大崎 p.3-4)

『#DearMe: First Lady Michelle Obama's
Message To Her Younger Self』(2015)

親愛なるミシェル
 間違うんじゃないかって心配するのをやめてちょうだい。「成功」って、完璧かどうかとは関係ないのよ。だから、ナーバスにならないで。手を上げて、声を上げて、たくさん間違って。失敗から学びながら、前に進むの。
 それから、他の人がどう思うかなんてことを気にしないでちょうだい。そんなことはどうでもいいの。私は今、50歳になったけど、若いときにまわりの人から言われたネガティブなことは、私の人生に何の影響ももたらさなかったわ。どうでもいいことなのよ。
 だから、勇気を持って。声を上げて。周囲の疑い深い人たちのことを無視して。そして、一生懸命がんばるのよ。だって、人生ってハードワークなの。恐れないで。ただ、やってみるのよ。(大崎 p.110)

兵庫県豊岡市『広報』(2019)

東京都豊島区『消滅可能性都市からの
逆転』(2014-7)

日本マイクロソフト『Empowered JAPAN』
(2019)

積水ハウス『イクメン休業制度』(2020)

東横INNの女性支配人

第4次安倍改造内閣(2018)

ある時、大臣たちが並んだ写真を見せた当時小学1年生だった娘が「こんなのはイヤだ」と言いました。国会議員に占める女性割合を示すランキングで日本の順位が低いことを知って「どうして?」と言うので、見せた写真でした。小学校では性別で分け隔てのない教育を受けていますし、家庭でも3歳上の兄と同じように接しているため、違和感を覚えたのでしょう。(治部 p.25)

光村図書 3年 上『きつつきの商売』

「…『朝からの雨で、おせんたくができないものですから。』母さんねずみが言うと」
と、ここまで音読した娘が言いました。
「あ、これ、ジェンダーだね」
「え? 今、何て言った?」私が聞き直すと娘は言います。
「だって、お母さんだからお洗濯っていうのは、ジェンダーでしょ」(治部 p.172-3)

作詞:のぶみ『あたし おかあさんだから』
(2018)の歌詞がネットで炎上

「歌詞は「母になって我慢するようになったこと」が列挙される構成で、批判の内容は
1.母の過度の自己犠牲の当然視、
2.働く女性や子どもを産んでいない女性への無自覚な非難の2点に集約される」(水無田 p.156)

※このページは、大崎麻子『エンパワーメント』(2017)、瀬地山角『炎上CMでよみとくジェンダー論』(2020)、
治部れんげ『「男女格差後進国」の衝撃』(2020)、水無田気流『多様な社会はなぜ難しいか』(2021)を参考にしました。
「」(大崎、瀬地山、治部、水無田 p.)と記載されている部分は、それぞれ、大崎麻子さん、瀬地山角さんの個人的見解です。
p.は著書のページ数から引用したものです。